Q.医療過誤、医療事故の事件は、法律相談の後どのように進んでゆくのですか?
A.「医療過誤の流れ」に説明がありますので、参考にしてください。
大まかな流れは「お手持ちの関係資料・ご自分で開示請求済みのカルテ等の簡易診断→相談→カルテ等の資料収集(まだ開示を受けていない場合)→カルテ等の詳細な調査→示談交渉→訴訟」です。医療訴訟で重要なことは、「医療ミスがあったどうか」と、医療ミスを立証するための「証拠があるか」の2点です。ミスがあったことが明らかであっても、その証拠がなければ医療機関に対して交渉・訴訟を行うことはできません。
当事務所では、頂いた資料を基に医師・弁護士である代表弁護士がすべてのケースの調査を開始し、法律相談の時点で、医師の立場からの簡易診断、基本方針をお伝えします。その時点で必要と思われる証拠が明らかになります。証拠として、カルテ、レントゲン写真などの画像記録、検査データ等の診療記録が、まだ収集されていない場合はそれらを収集することがまず必要になります。医療過誤・医療事故を証明する最も重要な証拠になります。問題の医療機関の前や後に行った医療機関がある場合には、相手方医療機関のみならず前医や後医の診療記録も入手する必要があります。診療記録の入手方法は、法的手続きの証拠保全手続きと、カルテ開示による方法があります。証拠保全手続きは、弁護士が担当して行います。カルテ開示は患者さん自らが病院にカルテ開示を求めます。
診療記録を入手後、さらに詳細に診療記録を分析して検討します。通常、医療知識がなく自ら判断できない弁護士の場合には、この時点になって初めて医師に対する質問書や鑑定事項書を作成し、問題となっている科の専門医に過失調査を依頼することが多いです。当事務所では、簡易診断に引き続き、診療録や画像を綿密に検討し、必要な場合には入院中の検査データをすべてグラフ化したり、一覧表にして経過を明らかにしていきます。その時点で、さらに専門家の意見が必要だと判断した場合には、各科の専門家と分析したデータの結果についてディスカッションを行って、問題点をさらに明確にしていきます。
このような方法で、交渉や訴訟になった際には、専門医に意見書作成や鑑定書の作成に協力してもらうことも可能になります。医療過誤・医療事故事件では、この過失調査で、医師によるチェックを行わなければ、調査が進みません。専門医による過失調査をしないままでは、示談交渉を有利に進めることは出来ませんし、真相解明も困難です。
過失調査の結果、過失があると判断できる場合は、医療機関との示談交渉を行います。しかし、医療機関に何らかの問題があって(過失があって)も、発生した損害(後遺障害、死亡)との因果関係がない、あるいは、証拠が乏しく過失を証明することが困難なときには、過失調査のみで終了しなければならないこともあります。
示談交渉で相手方が過失を否定して争ってきたときは、訴訟提起することになります。訴訟になったとしても、裁判所の勧めで和解することもありますし、和解に至れなければ判決になります。依頼者の意向に沿って訴訟を進めていくことになります。