Q.証拠保全とはどのような手続きですか?
A.裁判所の手続きによってカルテなどの診療記録を入手する方法です。
診療録等の入手方法には、証拠保全の他、本人が病院の窓口にカルテ等のコピーを申し込む自己開示請求の方法があります。自己開示請求は、簡単かつ安価にカルテを入手できる一方、病院・医師らに患者から提訴されるのではないかと警戒され、コミュニケーションに支障をきたしたり、提訴に備えたカルテ記載がなされたり、カルテの改ざんや隠匿がなされる等のリスクがあります。(電子カルテシステムを採用している医療機関では加筆修正履歴の開示を求めることで最近はリスクが減っています)医療訴訟では、カルテ等の診療記録が最も重要な証拠となりますので、もし、カルテ等が改ざんや隠匿などされると、患者側が、医療機関の責任を立証することは不可能又は極めて難しくなります。
訴訟を起こす前に、カルテ等をありのままの姿で確保しておくための裁判上の手続きが証拠保全手続き(「検証」という手続きです)です。証拠保全は、医療機関にとっては、何の前触れもなく、突然実施されますので、カルテなどを改ざんしたり隠匿する余裕はありません。
証拠保全は、カルテ等の改ざん・隠匿の危険があるなど、保全の必要がある場合に認められる手続きなので、相手方医療機関以外の病院(相手方病院の前医や後医)については、通常実施できません。前医や後医のカルテ等は、相手方医療機関に対する証拠保全を実施した後、自己開示請求で取り寄せます。