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脳性麻痺のお子さんに必要な装具 信頼できる義肢装具士に任せよう

2023年08月30日 | コラム

脳性麻痺のお子さんにとって必要なケアの一つである、装具療法。麻痺の症状に合わせて、使用される装具は様々です。
痙直型脳性麻痺の基本装具ともいわれる短下肢装具や、機能訓練で用いられる長下肢装具、骨盤体付き長下肢装具、膝装具、股装具などがあります。

最近ではその技術、使用される素材ともに進化していますが、自分に合った装具を身に着けるために必要不可欠な存在が「義肢装具士」です。

脳性まひとは?【産科医療LABO】

義肢装具士は免許が必要です           

義肢装具士という国家資格をご存知ですか?
そもそも、「義肢装具士」は義肢装具士法という法律にもとづいて認められる国家資格です。義肢装具士法第2条3項には、 
義肢装具士とは:厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合(以下「義肢装具の製作適合等」という。)を行うことを業とする者と記載されています。
そして免許は、義肢装具士国家試験(以下「試験」という。)に合格し、厚生労働大臣の免許(以下「免許」という。)を受けなければならない、と記載されています。

これまで、義手や義足などの装具は、整形外科と密接に関わるため、医師と義肢装具士の癒着が問題視されてきました。
この問題を踏まえて、令和5年7月10日に厚生労働省からの通達が新たに出されました。きちんと医師からの証明があった場合に購入修理費用を支給することを明らかにしたものです。

〇義肢等補装具費支給要綱の一部改正について

医師の指示の下に適切に義肢等補装具を作成し、購入・修理費用を支給を受けるためには、「義肢等補装具購入・修理費用支給承認決定通知書」が必要です。

無資格の義肢装具士に注意を!

義肢装具士の名前をかたっていても、正しい資格を持っていない場合が問題になっています。
無資格で義肢装具を作っている業者には、刑事罰もあります。

41条 (名称の使用制限)
第四十一条 義肢装具士でない者は、義肢装具士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

48条 罰則規定48条2項
第四十一条の規定(義肢装具士でない者は、義肢装具士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。)に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。

罰金は軽い刑罰です。本当の問題は、義肢装具を必要としている患者さんが、自分の後遺症や体にあった義肢装具を作りたいと思っているにもかかわらず、正しい国家資格を持たずに、既製品を加工したものをオーダーメイドと偽って売っていたりすることです。お金の問題だけではありません。体にフィットしたものを装着しなければ後遺症がさらに悪化する可能性もあるからです。
まだまだ、知られていない国家資格ですが、義肢装具士というプロフェッショナルがいること、国家資格であること、自分の体にあった義肢装具をプロフェッショナルに作ってもらうことが必要であること、を忘れないようにしましょう。本当に資格のある義肢装具士さんなのか、不安なときは、専門の主治医の先生(整形外科や神経内科等)に相談してみましょう。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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