医療過誤・医療ミス・問題解決事例
相談前
患者様のご家族から相談がありました。病院では看護師が薬を毎朝渡して内服していましたが、シートに入ったままの状態で渡して、患者様がそのまま飲み込んでしまい、シートのとがった部分によって腸の損傷が生じてしまって緊急手術の後、人工肛門になりました。病院側はシートのまま内服させたことは認めていましたが、腸の損傷や人工肛門になったことはシートが原因とはいえないとして低額の提示しかなかったことから、当事務所に相談に来られました。
相談後
問題となった時期の入院カルテと、入院前のかかりつけ医のカルテをカルテ開示によって入手したところ、外科医は、手術所見にシートによって腸の一部に穿孔が生じたことを明記していたことがわかりました。さらに外科医がかかりつけ医あてに記載していた診療情報提供書(紹介状)に、シートによって穿孔していて人工肛門になったことも説明していました。当事務所から、病院側が話す内容とカルテ記載の内容が違うことを指摘したところ、シート内服と後遺症の関係を認めてもらえることとなり、本来の提示額の5倍以上の補償額による示談が成立しました。
富永 愛弁護士からのコメント
病院側は、患者様やご遺族がカルテの内容を詳細に検討できないことから、カルテの記載と異なる主張をしてくることがあります。カルテ開示の際にも、ところどころ抜き取ったものしか開示してこないこともあります。カルテは、医療事故において一番の客観的証拠になるものですので、カルテの検討をきちんと行えば真実が見えてくることがあります。
このケースは、カルテの検討をきちんと行ったからこそ相手方を説得することができたケースだと思います。