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Home 9 判例 9 小児に対する全身麻酔は、医師の責任が認められているケースが多い

小児に対する全身麻酔は、医師の責任が認められているケースが多い

大阪高裁 平成10年9月10日 判時1689号84頁、神戸地裁 平成9年11月5日判時1656号117頁

このケースでは、外科医院で、1歳11か月の男児に対する両側鼠経ヘルニア手術で、マスク麻酔(ハロセン 2-2.5%)し、執刀後15分で180の頻脈、その後21分で脈拍80まで低下し、その後心停止になった。心停止の原因として、麻酔薬過剰投与による低酸素症、ないし換気不全による不整脈が原因となった可能性が大きいとして、脈拍80となった時点で手術中止すべきであったとされた。小児のマスク換気による吸入麻酔は、マスクの密着性によって麻酔薬の濃度が変わる。また、開業外科医は、手術をしながら麻酔の管理を行わなければならず、異常事態にすぐ対応できない状態にあったことなども考慮されての判決だと考えられる。また、小児に対する手術後のシロップ剤(塩酸シプロヘプタジン)の経口投与によって、呼吸停止になったケースについては、術後の回復室(リカバリールーム)における観察時間が不十分であり、医師の責任を認めている。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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