脊椎手術の手術後に、脊髄損傷による神経障害が生じた場合、医師の責任を認めた
横浜地裁 昭和61年10月9日 判時1225号94頁
神戸地裁 昭和62年10月26日 判時1286号130頁
大阪地裁 平成元年10月30日 判時1354号126頁
神戸地裁尼崎支部 平成4年11月26日 判時1479号73頁
これらのケースでは、脊椎手術後に脊髄損傷による神経障害が起こった場合に、特段の事情がない限り不可抗力による合併症だという医師側の主張は認めず、原則として手術操作についての過失を認定して医師の責任を認めている。
脊椎手術では、すべて医師の責任を認めているわけではないが、他科の手術に対して医師の責任を認めている傾向が強い。脊椎外科では、特に、良性の疾患であること、術前と術後の症状の違いが患者にわかりやすいこと、等が背景にある。さらに、技術的進歩も著しく、顕微鏡下手術等の適応を考えられている術式について、器具を使用しなかったという事実があると、手術手技に問題があったと認められやすい。また、椎間板ヘルニアについては、手術の部位を誤るという初歩的なミスが頻繁にあるが、レントゲンによる確認が容易に行えることから、医療機関側の過失が明らかで和解になっているケースも多いと推測できる。