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副作用の発見について開業医に発見する義務と転院させる義務を認めたケース

最高裁 平成9225日 判例時報159870
「開業医の役割は、風邪などの比較的軽度の病気の治療に当たるとともに、患者に重大な病気の可能性がある場合には高度な医療を施すことのできる診療機関に転院させることにある」として、投与している薬剤の副作用の可能性がある薬疹を認めた場合には、速やかに他の医療機関で必要な検査・治療が受けられるよう配慮しなければならず、発疹の発見の遅れは、開業医としての職務上の使命に著しく欠けると判示した。そして、検査・治療の遅れによって、薬剤の副作用による顆粒球減少症から敗血症になって死亡したケースについて医師の責任を認めた。

この判決は、顆粒球減少症という重篤な副作用の可能性がある以上、その発症の可能性を考慮して、すぐに検査・治療できるように配慮するべきとしており、開業医に明確な責任を認めている。開業医に対する責任と、薬剤の副作用における医師の責任、さらに総合病院など対応できる医療機関への転院の責任を認めた判決としてその後の判例に影響を与えている。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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