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子宮摘出についての説明義務違反を認めたケース

広島地裁 平成元年5月29日 判時1343号89頁 
婦人科での機能温存手術の説明責任は、妊娠を希望する患者にとって重要な事柄であるため厳格な説明責任が認められている。このケースでは、28歳女性の虫垂炎、卵巣嚢腫の診断で手術したが、子宮筋腫であったため子宮全摘をしたことについて、手術中の本人に意思確認を行わず姉に確認したことでは不十分だと判断された。緊急性のない手術であれば、本人の意思を確認するべきことは当然である。

東京地裁  平成13年3月21日 判時1770号109頁
40歳の経産婦であっても、手術中に子宮摘出術を行うかどうかの判断は、夫が医師であったとしてもその本人に意思確認すべきであったとして、説明義務違反を認めている。

患者が妊娠を希望する場合には、子宮の全摘術はその人の人生の選択事態を奪う事柄になる。妊娠可能年齢が上がり続けている今日、妊娠・出産に対する考え方は様々であり、緊急性がない場合には、本人の意思を慎重に確認することが望まれている。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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