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入院中に目が見えなくなってきた

2017年06月01日 | コラム

重症な病気や手術等でカテーテルという管を身体に入れることがよくあります。中心静脈カテーテルといわれるもので、大きな血管の近くまで管の先端を入れるので、通常の点滴では使えないような濃い点滴を使うこともできるものです。このカテーテル、医療現場にとっては不可欠なものになっていますが、人工物を体内に入れるため、カテーテル感染といわれる感染源になってしまうこともあります。カテーテルの管に病原菌が住み着くと、高熱が出る全身感染症になることがあります。感染源になるのは、細菌やウイルス、真菌等様々です。その中で特に、カテーテルを入れていない通常状態であれば感染源にならないような真菌(いわゆる、「カビ」)がカテーテルに住み着き、真菌感染症を起こすと重篤な状態に至ることがあります。

 例えば、大きな手術をした後に抗生物質を使っているのに高熱が続き、眼が見えにくいというような症状が出ることがあります。カテーテル感染から、血流に乗って菌が眼の中に入る、感染性眼内炎です。中でも、カンジダという真菌によるカンジダ眼内炎はカテーテル感染症として有名です。全身状態が悪い状況で、それまでなかった目の症状があり、カテーテルが長期間挿入されている場合に、可能性が高くなります。

 

眼科疾患は見つかりにくい?

身体の病気の治療中に、患者さんから「目がちかちかする」「頭が痛い」「虫が飛んでいるように見える」等の訴えがあった場合、カテーテル感染からのカンジダ眼内炎を疑っていない医師は、「大丈夫でしょう」といって軽視しがちです。現在は、カテーテル関連感染症としてカンジダ眼内炎が有名になり、ガイドラインも出ているため見落とされることは少なくなってきましたが、まれに、失明に至るまで治療されず、トラブルになることもあります。

医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

この記事を書いた⼈(プロフィール)

富永愛法律事務所
医師・弁護士 富永 愛(大阪弁護士会所属)

弁護士事務所に勤務後、国立大学医学部を卒業。
外科医としての経験を活かし、医事紛争で弱い立場にある患者様やご遺族のために、医療専門の法律事務所を設立。
医療と法律の架け橋になれればと思っています。
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