“医療訴訟は勝てない“ そんなイメージを持たれている方は多いのではないでしょうか。 医療訴訟が勝てないと思われている理由と、解決の方法として実は多く選択されている「裁判上の和解」について解説します。 医療訴訟には知識と経験を持つ弁護士が必要です。弁護士を選ぶポイントもお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。 医療訴訟は年間どのくらい提起されている?...
裁判官、また騙されてますよ!医療裁判で起こった鑑定人による作り話
医療ミスの裁判では、裁判官が専門家や鑑定人の意見に翻弄され、騙されてしまうことはこれまでもコラムで書いてきました。出来るだけ裁判官に解るように丁寧に解説してきたつもりでしたが、今日もまた、鑑定人の意見に騙されてしまっている裁判官がいて、落ち込みました。この裁判官は、頭もよく長い書面も嫌がらずに読んでくれていて、鋭く問題点を指摘してくれていると感じていただけに、あぁこの方もまた同じか、とガックリした気持ちで裁判所から帰ってきました。 今回の鑑定人が書いたのは心電図についての鑑定書でした。 心停止には4つの種類がある...
裁判で公平公正な判断をするために、技術の導入を!
専門家でなくても下手な手術は見ればわかる 「医療ミスに違いありません。」「手術ビデオを見てください!」そう言って当事務所に来られる患者さんやご遺族がたくさんおられます。ビデオを見れば「雑な手術だなぁ」「下手な手術だなぁ」ということがすぐわかります。例えば、皆さんが、交通事故のテレビ番組を見ていれば、車のドライブ・レコーダー画像から、「荒い運転だなぁ」「無茶なブレーキ、アクセルの使い方だなぁ」と直感的にわかるのと同じです。...
脳性麻痺のお子さんに必要な装具 信頼できる義肢装具士に任せよう
脳性麻痺のお子さんにとって必要なケアの一つである、装具療法。麻痺の症状に合わせて、使用される装具は様々です。 痙直型脳性麻痺の基本装具ともいわれる短下肢装具や、機能訓練で用いられる長下肢装具、骨盤体付き長下肢装具、膝装具、股装具などがあります。 最近ではその技術、使用される素材ともに進化していますが、自分に合った装具を身に着けるために必要不可欠な存在が「義肢装具士」です。 脳性まひとは?【産科医療LABO】 義肢装具士は免許が必要です 義肢装具士という国家資格をご存知ですか?...
鑑定人は公平・公正な第三者だと思いますか?
医療ミスの裁判では、専門性が高いため裁判官には判断できない事柄について、鑑定人が選ばれて、鑑定人の書いた「鑑定書」をもとに、裁判官が判決を書くことがあります。私自身は、これまでの経験から、鑑定人が公平・公正である正しい人である確率は、残念ながら極めて低い、と感じざるを得ません。 なぜなのか、皆さんにわかっていただくために、実際の例を紹介したいと思います。 『頭部外傷にはまずCTを』という啓蒙活動をしている先生なのに…...
「赤ちゃんはどうせ脳性麻痺になっていただろう」という裁判官
赤ちゃんは仮死状態で生まれました 平成23年に中国地方の、とある病院で、助産師や産婦人科医の対応が遅く赤ちゃんが脳性麻痺になってしまったという事故がありました。 産婦人科医師は、赤ちゃんが苦しくなっている胎児心拍陣痛図(CTGモニター)の波形がかなり前か出現していたにもかかわらず、産科診療ガイドラインに記載のある対応を行わず、赤ちゃんは真っ青でだらんとした重症新生児仮死の状態で生まれました。その結果、脳に障害が残り、脳性麻痺と診断されました。...
自宅での薬服用、医師の注意義務違反はあるの?!
医師から処方された薬を服用し、重篤な副作用が出たら・・・ 患者は医師にその責任を問えるのでしょうか。 今回は大腸検査の準備のため自宅で下剤の服用をするときに、医師から副作用や服用する際の注意事項を説明されないまま服用し、重大な副作用による後遺症が残った事例を元に、医師の注意義務についてご紹介します。 事例の概要 パーキンソン病の持病がある患者が肛門通を訴え救急外来を受診しました。その際、レントゲン検査により著明な便塊が認められ、摘便により摘出されました。...
「命の値段」が安すぎる国、日本
医療ミスで両手足切断 病院が被害少女に和解金62億円支払う(2023.1.21)報道に思う。 衝撃のニュースがイギリスメディアMETROで報道され、日本でも「両手足切断」「和解金62億」と話題になりました。 両手足切断になった理由は、METROの報道内容からしかわかりませんが、高熱で意識がもうろうとし、吐き気があって病院を受診しました。症状からは髄膜炎と敗血症のサインがあり「Red...
なぜ何十年も経って、まだ陣痛促進剤を正しく投与できないの?!
2歳長男死亡、両親が県立富山中央病院を提訴 富山地裁 (2023.2.10北國新聞) 分娩時の医療事故、医療ミスで最も多い、陣痛促進剤の不適切な投与。まだ陣痛促進剤の事故があるのか、とうんざりする気持ちになりました。 富山県立中央病院で、ガイドラインを上回る量の陣痛促進剤を投与したことで生まれてきた赤ちゃんが障害を負い、その後感染症で2歳の短い命を絶たれました。 まず、分娩中の医療ミスかどうかを判断するには、日本産科婦人科学会が作成している「産婦人科診療ガイドライン」が非常に重要な役割を担っています。...
悲しいお産をなくすために 2021年妊婦年間死亡者数35人
医療が進んだ日本でも、1年間で30~60人もの妊婦さんが出産のときに亡くなっています(2010~2021年)。出産ミスだけではなく自殺やその他の病気も含まれている数字ですが、衝撃の数字です。 日本の妊産婦死亡率の推移【産科医療LABO】...